枯れた草花などが散乱する荒涼とした世界に、大小二つの頭蓋骨が描かれている。そこにからまる薄いピンクの花は、生を感じさせながらも死を彩る装飾のようにも見える。子供の頃から死に強い興味を持っていたフィニーにとって、骨は腐敗せずに残る不変で完全な死の象徴であり、重要な
[モティーフ]として作品の中に繰り返し登場する。静寂に包み込まれ、白く光る二つの頭蓋骨は、死の絶対的な美しさを暗示しているようでもある。筆跡を残さない細密な技法で描かれたフィニーの前期の作品である。
いかなる芸術活動にも正式には関わらなかったフィニーだが、自身の体験や感情を体現しようとする幻想的な作風は、
[シュルレアリスム]との関わりを切り離して考えることはできない。