この作品は個展のテ-マ「仮面の
[エロス]」〈朝〉、〈昼〉、〈夜〉の三部作の一つである。画面中央にはしのびよる夜に身構えて進むかのように若い女性たちが描かれ、その上部左には女性を照らす月がある。加藤は「その月を内臓の形を使って描いた。そして、その奥に潜む意味は、人間の心と肉体を融合させたものである。」と述べている。その月によってつくられる影は、女性たちの心に潜むものを映し出している。それは闇夜の中に描かれた色彩と
[フォルム]による詩のようでもある。加藤はギリシア神話の思想をよくテ-マにした。この作品も「
[エロス]とタナトス」をテ-マにしたものである。性(
[エロス])と死(タナトス)を背負った若い肉体が闇の中を進む。