[瑛九]の晩年の作品は、確実に精神的な高まりを増してゆく。
[瑛九]の
[エアコンプレッサー]を使った作品は、
[フォト・デッサン]の制作過程に似ており、型紙を置きその上から絵具を吹き付ける方法で制作されている。しかし、この作品では型紙は使わず背景の部分に直接画面に吹きつけて円を描いたり、調子をつけているだけである。
[エアコンプレッサー]を使用した作品の中でも、ほとんど最後の時期に位置づけることのできる100号の大作である。画面には、宇宙にちりばめられた星のようにいくつもの円がさまざまな色で描かれ、リズミカルで快い。まるで、無限の宇宙空間を表現しているようだ。
[瑛九]の研ぎ澄まされた精神が凝縮され、緊張感のある作品となっている。