[瑛九]は、絵を学び始めた10代の頃から、自分が感じとる現実のものごとの本質を描き出せないことにもどかしさを感じていた。目に見える表面の形を描くことでは本質に迫れないとの思いから、抽象に向かったのであろう。現実の世界から
[瑛九]の感じとる本質が、
[瑛九]の精神世界を作り上げる。この作品は、死の2年前昭和33年に描かれたものである。
[瑛九]が自分の表現に到達したと納得する
[点描]の作品に、のぼりつめていく段階のものである。題名の「飛びちる花びら」は、具体的な
[モティーフ]を意味せず、この絵のイメ-ジからつけられた言葉ではないだろうか。