瑛九が最後に到達したのは、画面が無数の小さな色点で埋められた世界であった。
瑛九は、いよいよ自分の求めていた世界にたどりついた実感を、昭和34年8月の友人への手紙に、「僕は今、充分な用意をととのえるために、ひそかに武器を製造している」と書いている。この作品は、何千何万もの色点で描かれている。黄と青の色を基調に、その点は部分的に密度が濃くなったり拡散したりする。全体的に絵具は薄くぬってあるが、色は濁りがなく澄みきっており、輝きがある。見る人によって画面はうごめき、変化していく。そして、自然に
瑛九の世界へとみちびき、見る人にその世界を体感させてくれるのである。「とに角、心にあるものをキャンバスにはきだしつづけます」と
瑛九は言っている。