この作品が制作された昭和18年の8月に
[瑛九]は、栃木県真岡の
[久保貞次郎]の家に滞在している。この年、この
[印象派]風な作品から制作を進めて
[フォーヴ]ィスムそして
[キュビスム]に移行し10月には宮崎に帰り、画風は抽象へと展開する。この作品は、サインによると3月頃に制作しているので、おそらく真岡に行く前であったろう。画面は
[点描]で
[印象派]的な傾向の強い作品となっている。親子であろうか、手前に子供を連れた女性とその右には花束を持った女の子がいる。その奥には、
[イーゼル]にカンヴァスを置き、風景を描いている画家とそれを後ろからみている女の子がいる。のどかで平和な風景を、柔らかい暖かい色調で描いている。この作品からは、戦時下の重苦しい空気はみじんも感じられない。