[瑛九]の活動は、昭和25年以後
[デモクラート美術家協会]の結成、
[創造美育協会]の設立、版画講習会の講師など、内容も多岐に渡るようになる。そんな中でも、
[瑛九]は多くの作品も制作している。そして、2~3年間隔で変容を見せる作品群は、それぞれに独自の世界をつくり上げており、最晩年の
[点描]に至る自己確立の跡がうかがわれる。この作品もその中の1点で、画面全体に細かく描き込まれた作風は晩年の
[点描]の作品につながるもので、点の集まりで形を表現している。まだどことなく具体物を感じさせるが、この後次第に形はなくなり完全に点だけによる表現へ移っていく。