昭和14年頃にそれまでの抽象から、「絵画を根本からやり直す必要性がある」と写実的な作品を描き始めた。その後
[印象派]、
[フォーヴ]ィスム、
[キュビスム]の影響を受けながら、自分の求める表現を模索していた。その真意は「美しい絵がかきたく思い」「なおかなたにあるもののため」であり、そのために「血のにじむ精進が必要」という兄や友人への手紙から、そのときの心境がうかがえる。そして戦争や病気のため思うように制作できなかった時期を経て、この作品が描かれた戦後には抽象に戻っていく。本作品は画面全体に曲線が交錯し、色面が効果的に配されている。色は深みを帯び、響き合っている。