桃甫最晩年の作品である。桃甫作品の特徴の一つである黒く太いりんかく線によって、少女の顔がはっきりと描かれている。桃甫の黒いりんかく線は形を区切るだけでなく、形態を単純化させ、影を感じさせ、他の色を美しくきわだたせる。この作品でも、モデルは単純な形に描かれ、ほおからあごにかけての線や眉から鼻にかけての線は影を感じさせる。また、朱色や黄色が美しく生かされている。大胆に大ざっぱに引かれた線のようでありながら、熟練した確かな線である。桃甫が
[フォーヴ]ィスムの画家
[ルオー]を尊敬していたことが、この絵によってよくわかる。