[フォーヴ]ィスムの画家たちは、色を自由に使いたいという強い欲求をもっていた。ものを再現するためだけに色を使うのではなく、色そのものの美しさを画面上に表わすことを目的としているため、しばしば現実にはあり得ない色彩のものが描かれることもある。しかし、作家の意図によって選ばれ組み合わされた色彩は、画面上で響き合う。この作品は、背景が大きく赤、黄、青に塗りわけられ、その中に白い猫がうずくまっている。猫も白い色の塊としてとらえられて背景にとけこみ、それぞれの色の対比と調和がこの絵の主題となっている。また、この作品には桃甫らしい太いりんかく線は見られず、猫の柔らかさがよく表わされている。