山田のパリ滞在は、足掛け3年にわたっている。
[アマン=ジャン]に師事し、フランス絵画の真髄に触れながらも、
[エコール・ド・パリ]の画家、
[藤田嗣治]や
[キスリング]らとも接し、新たな作風を模索している。滞在中山田は、サロン・ド-トンヌ、サロン・デ・ザンデパンダン等で活躍する一方、文豪モ-リス・メ-テルリンク家に食客として招かれたりしている。この作品は、帰国する1年前に描かれたもので、飾り気のないアトリエの中で、赤衣をまとったフランス人女性を、親しみと憧れを込めてさりげなく描いている。装飾性を極力排し、対象そのものに迫り、その美しさを描きあげ、新鮮な輝きを放っている。