この作品は
[リトグラフ]の作品である。画面上部には星座の女神たちであろうか、人物の顔をいくつかダブらせ描いており、また背景に天の川であろうかブル-を配している。落ちて行く星は理想の世界から現実の世界へこぼれ落ちて行く人間の夢や希望を描いているようだ。加藤は自分のイメ-ジをだれに制約されることなく自由に表現している。この作品は昭和33年、東京での個展で発表された作品である。加藤は「私は絵を描く時、いつも思うことは、その描きはじめようとする作品以前の自分の色々な諸作品を忘れ、むしろ否定に近い感情をもって、新しい自分を見つめようと試みます」と語っている。加藤にとっては既成の絵画や自分の作品への「否定」が制作の原動力となっているのだ。