[靉嘔]にとって何かを虹色に塗る行為は、身の回りにある具体的なものから霊感を引きだすことなのだという。日用の道具ばかりでなく、尊敬する先人たちの作品を虹色に塗り変えることもある。
[浮世絵]をもとにした「レインボー北斎」がそうであるし、アンリ・
[ルソー]やゴーギャンの代表作にも、さまざまな思いで虹をかけてきた。
[瑛九]の
[銅版画]をオリジナルとするこの作品は、
[靉嘔]がいつも身近に置いていた、『
[瑛九]原作
[銅版画]集』の1点を
[シルクスクリーン]にしたものだ。硬質な線で描かれた
[瑛九]の夢幻は、
[靉嘔]の虹によって、明確に区画された極彩色のカーニバルへと変貌している。