画面中央に、向き合う二つの顔が描かれている。そのまわりを、建物、奇妙な生き物、有機的な形が、重なり合いながら画面いっぱいに埋め尽くし、不思議で幻想的な世界が表現されている。
[瑛九]は、心の中から次々とわき上がってくるイメージを、下がきもせず直接銅板に彫って作品を作っている。前年の昭和27年に住居を埼玉に移し、ニューヨークでの個展の話があるなど、充実した時期に制作された作品である。この作品は、昭和29年の第5回秀作美術展に出品されている。
[瑛九]は、39歳から
[エッチング]を始め、8年間で約300点もの作品を作った。