本来、三次元の世界を再現する写真を焼きつけるための印画紙に、平面的で幻想的な世界が描き出されている。
[瑛九]は印画紙の特性を生かしながら、独自の絵画を作り上げた。印画紙独特の光沢と深い奥行きを感じさせる黒の上に、平面的で真っ白な横顔のシルエットがはえる。
[瑛九]は、昭和11年に初めて
[フォト・デッサン]の作品を発表し、当時の人々に新鮮な感動を与えた。昭和28年にはアメリカで
[フォト・デッサン]を紹介する話が持ち上がる。この作品はアメリカに送られた中の一点であり、
[瑛九]としても自信を持った作品であったのだろう。