この作品は、えびの高原の硫黄が吹き出すあたりからみた韓国岳(からくにだけ)を描いたものである。岩肌をむき出しにした絶壁は青く切り立ち白い雲にくっきりと浮かび上がっている。深く刻まれた山ひだは火山特有のもので、長い歳月がつくりあげた自然の造形である。坂本はそれをシルクロードで見た岩石の山々と重ね合わせていると言う。
古くから山は坂本の
[モティーフ]の一つであるが、韓国岳にひかれるようになったのは、60歳を過ぎてからのことである。何度も山に足を運んで描いたスケッチが生みだす画面は、キリリと澄んだ空気を感じさせる。