黒木の作品に登場する人物は、どこか異国の民族衣装のようなものを着ている。それがなぜだか我々に郷愁を感じさせる。また、地平線がほとんどの作品に描かれているのも一つの特徴であり、おそらくシルクロードを旅した経験から生まれたモティーフであろう。
この作品では、がらんとした大地で親子が縄跳びをし、側には花が咲き、犬が寝そべり、空には鳥が飛んでいる。地面に長くのびた影は夕方のほのぼのとした温かな時間を感じさせる。黒木の作品の根底にはいつも、我々現代人が忘れてしまいがちなおおらかな時間への憧憬があるようだ。