丸みを帯びたひし形が、エアコンプレッサーを用いた吹き付けによるグラデーションで描かれている。泉はおよそ10年単位で作風を次々と変えているが、この時期は使用する色を赤、青、黄の三原色と銀色に制限し、定規とコンパスでできる形のみを使用するという原則のもと制作していた。本作品にも青と赤、銀色のみが使われている。タイトルには、泉が独自に制作年をアルファベットで表したM、F40号カンヴァス、その年の16作目という情報が機械的に並び、無機的な印象を与える。
昭和34年から海外で活動していた泉は、同43年に帰国後、銀色を使った吹き付けによる制作を開始した。この技法について泉は、油が水に浮いているような効果がほしかったと語っている。