斜めに区切られた黒と白の背景に、雲形定規をベースにした不思議な形が多数描かれている。
雲形の
[モティーフ]は、エアコンプレッサーで絵具の粗い粒子を吹き付けて表現されており、画面を斜めに流れるような、リズミカルな動きを感じさせる。
昭和45年以降、泉の絵画は10年ごとに作風が変化していくが、本作は、昭和60年から始まった
「雲型シリーズ」と呼ばれる作品群の一点である。泉は、雲形定規という既製品の形を素材として用い、画面に並べたり組み合わせたりすることで、創作意欲をかきたてていた。晩年の作であるが、泉が変わらぬ探求心で新しい表現を追求していたことがうかがえる。