[靉嘔]は、人間の感覚を具体的に表現する作品をつくっている。触覚の作品として「フィンガー・ボックス」、味覚の作品として「ディナー・
[イヴェント]」などがあり、この作品のように虹色を用いた作品は、視覚の作品である。人間が光を通して物の色を識別していることから、光のスペクトル、つまり虹色を視覚の最も基本的な要素と考えたのである。われわれは普段、ものを見るときにスペクトルの存在を意識することはない。しかし、それは光の当たる空間にすきまなく存在している。
[靉嘔]のレインボーシリーズの作品は、我々が普段意識することなく目にしている空間、つまり、光のふりそそぐ虹色の空間をそのままぬき出したものなのである。