坂本は熊本の風土や自然を意識的にも無意識的にも感じとって描いた画家である。坂本は「連」または「連帯」というテ-マでいくつかの作品を描いており坂本の代表作になっている。この「作品B」はそれらの初めの頃のもので、第35回
独立展で入賞し高い評価を得ている。この作品は坂本が阿蘇の自然とのつながり、あるいは一体感を感じる中で生まれてきたものである。坂本は「目の前の自然は、頭のてっぺんから足の爪先まで連(つな)がって調和し、(中略)自然と向かい合っているうち、自然と私が最も調和したとき程、美しさを強く感じるものだと教えられた。」と述べている。その感覚を表現するには抽象表現が必然であったのであろう。