両腕で上半身を抱きかかえるポーズの人物は、量感があり力強い。派手な色彩は見られず、抑えられた茶褐色の色調のみで描かれている。また、絵肌は、厚く塗り込まれ、影の部分などに
[ペインティングナイフ]で削ったあとが見られる。この作品は、細部にとらわれることなく形を単純化し、全体の造形を重視して描かれている。このような作風は、現在も森の作品にみられる特徴である。森は、テーマについて「当時の自画像のようなもの。」と語っている。この絵は初期のもので、少年を
[モティーフ]にしており、当時の自己の心情を描いたものと思われる。