この作品は、渡仏2年目に制作されたものである。当時フランスでは
[ルノワール]、
[ボナール]、
[ピカソ]、
[ブラック]等
[印象派]以降の新しい傾向がもてはやされている時であったが、鱸は
[印象派]以降のものよりも
[古典]的なものにひかれていった。特に
[コロー]の作品に東洋的な趣を感じ、深く興味を覚えている。作品は、何気ない厨房(調理場)の中にポ-ズを取るイタリア移民の娘を描いたものである。色調は落ちついた茶系統でまとめられており、
[コロー]に傾倒していたことがうかがい知れる。デッサンには確かなものがあり、ボリュ-ム感のある人物像が描かれている。