黄色い絵具が
[ペインティングナイフ]で方向性を持って塗りこめられている。左側には故意にひびのようなものを作るなどして、画面に重厚さと変化を生み出している。山口が
[マティエール]についてこう述べたものがある。「マチエールとは材料の肌です。自分のとらえた感じを出すために使われます。それには材料をよく知ることも必要でしょう。材料を知るといっても、科学者のように知識としてではなく、作家は〈使いながら知っていくもの〉だと思います。これが創作の発見にもなります。〈使いこんで知る〉、これが大切です」。何回も同じ色を塗り重ねることで、画面には山口の納得いく形や
[マティエール]が現れる。