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木器処理とは?


投稿日: 2018年1月4日

 【 木器処理とは? 】

 

「木製品の保存処理」

 発掘調査で出土した木製品は、その中に含まれている水分で形を保っています。そのため掘り出したらすぐ水の中に浸しておきます。水の中で保管されていないと、乾燥して、縮んだり、そったり、ねじれたりして形が変わってしまうからです。しかし、水の中に入れたままでは展示することも調査することも非常に難しくなってしまいます。そこで水に入れなくても形が変わらないようにするため、木製品を薬剤(ポリエチレングリコール)に浸し、その中に含まれている水と薬剤を強制的に入れ替えるPEG含浸法、変形が生じないように乾燥させるために真空状態で冷凍乾燥させる真空凍結乾燥法、トレハロース水溶液に浸す方法などの保存処理が行われています。また、割れた部分や折れた部分はできる限り復元します。このようにすると保管しやすいだけでなく、博物館や資料館などで展示できるようになり、多くの人に直接見ていただくことができるようになります。

 

「トレハロース含浸処理法」

 トレハロースは、なめこなどに含まれている天然の糖質です。1994年にじゃがいもなどのデンプンから人工的に生産できるようになりました。トレハロースは常温で安定した結晶を作り、木製品の寸法安定性も良く、高湿度環境でも吸湿しないなど、処理後の遺物の安定を考える上でも優れた性質を持っています。トレハロース含浸処理法とは、遺物に染み込ませたトレハロース水溶液を木製品の内部で迅速に結晶化させることで、乾燥に伴う木製品の変形を抑え、安定化させる方法です。宮崎県埋蔵文化財センターでは、トレハロース含浸処理法で木器処理を行っています。

 

※ トレハロース処理法の手順

 特殊なフィルムにトレハロースの水溶液を入れてから木製品(遺物)を浸して密封し、遺物内にトレハロース水溶液を染み込ませていきます。遺物の様子を見ながら、およそ2~3か月かけてトレハロース水溶液の濃度を10%ずつ上げていき、最終的には濃度約70%までいきます。トレハロース水溶液は、濃度が約45%以上になると常温では固まってしまいますので、濃度を40%から50%に上げたときから熱風乾燥機に入れて、液温を40℃~70℃に保つようにしています。濃度約70%のトレハロース水溶液に浸した遺物は、3週間~1か月で取り出し、およそ1か月ほど乾燥させます。その後、家庭用のスチーム洗浄機で、遺物の表面に結晶化しているトレハロースを溶かします。そのあとは、また乾燥を1~2か月ほど行ってから、保管室に保管します。

 

 昨年の12月下旬に塚原遺跡(国富町)の木製品(遺物)のトレハロース含浸処理法を行いました。現在、約30%のトレハロース水溶液に浸してあります。


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