桃甫は、強い色彩と荒々しい筆づかいの
[フォーヴ]ィスム的な表現方法で、対象から受けた感動を描こうとした画家である。対象をそのまま画面上に再現することには重きをおかなかったが、この絵は桃甫の作品の中では比較的に、写実的な表現となっている。椅子にゆったりと腰を掛け、くつろいだ少女が本を手にしている。腕、顔、ブラウスの前を合わせた部分などに光と影を意識した写実的な表現が見られる。横には花がさしてあり、果物の絵と窓、カ-テンが描かれ、部屋の様子がわかる。桃甫の読書をする人物の絵は何点か残されているが、その中でもこの作品は、穏やかで優しい表現となっている。