向山神社の鉄造狛犬(一対)
( むこうやまじんじゃのてつぞうこまいぬ(いっつい) )
指定者 |
県 |
種別 |
有形文化財 |
指定年月日 |
H21.3.26 |
所在地 |
高千穂町大字三田井1515(高千穂町歴史民俗資料館)
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向山神社の狛犬は、阿形・吽形の一対となっている。いずれも鉄造であり、魔除けのための守護神として向山神社に奉納されている。
同狛犬の阿形は、高さ43㎝で、開口し左右犬歯は上下連結させて表現され、タテガミは葉状に房を重ねている。吽形は、高さ44.5㎝で、閉口しているが上下歯牙を見せ、後頭部のタテガミには毛並みが表現されている。
神社などの狛犬は、一般的には木造もしくは石造が多いが、向山神社の狛犬は全国的にも事例の少ない鉄造である。またその制作年代は、最新の調査研究(『阿蘇高千穂地域歴史資料調査報告書』熊本県立美術館、平成20年3月)によれば、鎌倉時代後期とされている。同じ時代に制作された鉄造狛犬として、現在確認されているのは、高千穂神社の一対(二体)と栃木県宇都宮市の二荒山神社の一体(建治3〈1277〉年の銘がある)の三体である。
さらに制作技法においても、4つの割型が使用され、毛並みの表現も丹念に行われるなど、当時の鋳造技術としてはかなり高度なものがうかがえる。
このように技法材料と様式のいずれからみても、向山神社の狛犬の希少性は明らかで、工芸史上の重要な価値を持つものである。