この作品は、四曲の屏風に仕立てられている。いくつかの幾何学的なパターンが組み合わされているが、これらは、かまぼこ板でつくった版木をスタンプのように押して制作したものである。長谷川は、「線がスペースを美しくし、スペースが線を美しくする。」と述べている。この発想は、長谷川が晩年に強い興味を持った書と通じるところがある。ただの白い紙にも、1本の線がひかれることによって、互いに作用し合い、まわりの空間が意識されるようになる。この作品でも、白い空間は黒の配置によって決定され、緊張や弛緩などの動きが生まれる。