透明感のある色彩と
[アクワティント]の細かな斑点が施された、宇宙を連想させる不思議な空間。人のような奇妙な生き物が向き合い、それぞれの腕の先にある球状のものを互いに差し出すその様は、何かの儀式のようにも見える。
この、どこかユーモラスな人間のようなものは、マッタの代表的な
[モティーフ]であり、その姿を様々に変えて作品にくり返し登場する。マッタは、後に「自分が描こうとしているのは、色や形といった一見して眼に見えるものとは違う(中略)心象風景」であると語っている。マッタが描く、現実の世界では見ることができないものたちが混とんとうごめく未知なる光景は、機械文明や兵器が招く悲劇への警鐘をも示しながら、独特の存在感で我々にせまってくる。