木喰は、江戸中期に全国を行脚した廻国僧であり、作物聖として知られている。天明8年(1788)日向の地に入り、以後10年間、日向国分寺を中心にして日向各地を巡鍚(じゅんしゃく)し、木彫仏を残した。
本仏像は、五智如来とも呼ばれ、焼失した国分寺再建の中で制作されたものである。カヤ材を用いた寄木造りの5体の仏像(木造大日如来坐像、木造阿弥陀如来坐像、木造釈迦如来坐像、木造薬師如来坐像、木造宝生如来坐像)は、木喰の制作した仏像の中でも3m前後と最大級であり、点数のまとまりとしても特筆されるものである。
木喰仏は、代々地元の人々によって大切に保護され、日向に滞在した歴史的痕跡とともに、庶民信仰の姿を伝える歴史資料として貴重である。