青い空間に直方体の教会が浮いている。信仰のよりどころである教会が浮いている。地面には十字の影が映る。鴨居は昭和44年から教会を描き始めた。2年後にはスペインのラ・マンチャ地方のバルデペ-ニャスで村人たちと暮らし始める。鴨居は言っている、「村に住んでいて、私は何故、宗教を持っていないのかという問い掛けが始まったのです。」。教会の絵のシリ-ズはやがて、傾き、宙に浮き、溶け出し、波を受ける。鴨居にとって自分をそして人間を見つめる上で宗教はどんな意味を持っていたのであろう。この絵は教会を
[モティーフ]にした多くの絵の中の一点で昭和51年に描かれたものである。バルデペ-ニャス滞在最後の年である。