宮崎県立美術館
宮崎県立美術館外観 ロビー

コレクション展

当館の収蔵作品を紹介するコレクション展。郷土作家はもちろん、海外の著名な作家の作品も多数紹介しており、
県外から来られたお客様にも大好評をいただいています。コレクション展は年に4回、多彩なテーマを設けて開催します。

令和5年3期コレクション展 2023年9月16日(土)から12月17日(日)まで 観覧無料

名品セレクション +没後40年 山口長男

 宮崎県立美術館は、現在約4,200点の作品を収蔵しています。これらは、次の3つの収集方針に基づいて収集されています。
1.郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品
2.わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品
3.海外のすぐれた作品
 ここでは、当館のコレクションを代表する国内外の名品を展示しています。今回は、巨大な岩が空中に浮かぶルネ・マグリットの「現実の感覚」、未完成の建物や足場が不気味な雰囲気を漂わせるケイ・セイジの「稲妻の巣」、国内作家では、室内の様子を平面的かつ装飾的に描いた三岸節子の「室内」などを紹介しています。
 また、今年没後40年を迎えた山口長男の作品を特集展示します。国内外の名品とあわせてお楽しみください。

ルネ・マグリット「現実の感覚」

ルネ・マグリット
「現実の感覚」

 

宮崎の美術 −置県140年 県庁建設記念作品

 ここでは、宮崎県ゆかりの作家の作品を紹介します。中でも、宮崎県を代表する4名の作家は、年間を通して展示しています。
 日本画家では、伝統的な狩野派の流れを汲む山水画で力を発揮した山内多門と、秀麗な美人画で広く知られていた益田玉城が挙げられます。一方洋画家では、塩月桃甫が台湾で美術の振興に努めるとともに、太い輪郭線と鮮やかな色彩で独自の画風を追求しました。また、力強い筆遣いで生命力あふれる女性像を描いた山田新一は中央画壇で活躍しました。
 今回は、塩月桃甫や山田新一をはじめ、郷土作家が描いた宮崎県の風景を中心に展示します。また、置県140年に合わせ、昭和7(1932)年に完成した現在の県庁舎の建設記念として制作された、山元春挙や小早川秋聲らによる作品を紹介します。

吉田敏「御池」

吉田敏
「御池」

 

伊達孝太郎が見たアメリカ

 宮崎県出身者として最初の本格的な洋画家とされる伊達孝太郎は、1902年にアメリカへ渡りました。美術学校で研さんを積んだ伊達は、「吾れ祖国の美術界に革命を起さん」という意気込みで、他学生をしのぐ勤勉ぶりを見せたといいます。その後、肖像画家として活躍し、セントルイスの肖像画館の主任を務めるなど、アメリカでの地歩を固めていきました。
 ここでは、在米時代の木炭デッサン5点をはじめ、帰国後にアメリカ大陸の大自然を描いた油彩画などの作品を紹介します。これらの作品からは伊達の高い技術と制作に真摯に取り組む姿勢が見てとれます。
 また、ご遺族から借用したアルバムや新聞記事などの資料も併せて展示しています。日本に持ち帰った作品の多くが戦災で焼失しており、伊達がアメリカで自作を記録した写真は、当時の作品を知る貴重な資料となっています。

伊達孝太郎「題不明」

伊達孝太郎
「題不明」

瑛九は語る

 宮崎市出身の瑛九(本名:杉田秀夫)は、画家であるとともに、写真家、文筆家、評論家、エスペランティストなど様々な側面をもっています。16歳から本格的にはじめた美術評論や、19歳から盛んに投稿した写真評論は、専門雑誌にも掲載されています。また、宮崎県の美術協会発足時には「地方美術発展のために」と題し、美術協会に期待することを新聞に寄稿しています。交流をはじめた画家たちと新たな美術グループを作り、展覧会評などを通じて若手作家を鼓舞する活動もしました。
 瑛九が40歳を迎える頃になると、瑛九のもとには若い画家や写真家などが集うようになりました。彼らにとって、瑛九の語る芸術論は大変刺激になりました。年の差など気にせず、対等に議論を交わすことができる相手としても得がたい人物だったのです。
 ここでは、瑛九が芸術への想いや生き方について語った言葉を、初期の作品から画家として最も充実していた1950年代の作品とともに紹介します。

瑛九「田園B」

瑛九
「田園B」

 

現代彫刻 − 国内作家 −

 日本で「彫刻」という概念が生まれたのは、明治期からと言われています。その後、時代が進むにつれ、彫刻は様々な素材や手法によって制作されるようになりました。ここでは、独自の表現を追求した3人の国内作家を紹介します。
 イタリアの彫刻家ファッツィーニに師事した川原竜三郎(1940-2012)は、伝統的な蝋(ろう)型鋳造※を学び、物語的な情景を細部まで具象的に表現しました。保田井智之(1956-)は、木やブロンズなど異なる素材を用いて、従来の彫刻の技法にとらわれない作品を制作しています。清水良治(1935-2016)は人体を何度もデッサンすることで、内面からわき出る強い感情や意志を人物の動きや姿勢に表現しました。それぞれの作家が取り組んだ現代彫刻をお楽しみください。

 ※蝋(ろう)で原型を作って型を取り、溶かした金属を流し込む技法

保田井智之「a clod of earth Jul. −ひとくれの土 七月−」

保田井智之
「a clod of earth Jul. −ひとくれの土 七月−」

 

ギャラリートーク

 展示の見どころや作品について、分かりやすくお話しします。
 途中からのご参加も可能です。お気軽にご参加ください。


  • 場所:コレクション展示室
  • 所要時間:30分程度

  参加無料・申込不要

日時 テーマ 場所
 9月17日(日) 14:00〜 コレクション展(第3期)の見どころ 全室
10月22日(日) 14:00〜 名品セレクション +没後40年 山口長男 展示室1
11月26日(日) 14:00〜 宮崎の美術 −置県140年 県庁建設記念作品 展示室2
12月 3日(日) 14:00〜 瑛九は語る 展示室3

みやざきデジタルミュージアム
コレクション展で展示している当館収蔵作品の画像や解説等(一部)がご覧になれます。


令和5年度のコレクション展
※内容等につきましては、都合により変更する場合があります。

第1期

名品セレクション
−生命の息吹
宮崎の美術
−表現する女性たち
版の楽しみ
 瑛九のあしあと
近代イタリア彫刻

 

シニャックやフィニー、桂ゆきなどの名品をはじめとした自然や生命の輝きが感じられる作品を紹介します。
宮崎県を代表する画家、山内多門や益田玉城などの作品とともに、貴嶋ユミや児玉実枝ら表現する女性たちに注目して紹介します。
版材や版の作り方、色の扱いや刷り方など、版画の技法によって異なる表現を味わえる小企画です。
宮崎市出身の画家、瑛九の初期作品から最晩年の作品まで、画風の変遷をたどります。
近代イタリア彫刻の先駆者であるマルティーニやロッソに焦点を当てて紹介します。

令和5年4月8日(土)
〜6月25日(日)
終了しました

第2期

たのしむ美術館

 

子どもから大人まで、どなたでも気軽に美術を楽しんでいただける展覧会です。すてきな発見や感動が待っています。

令和5年7月1日(土)
〜9月12日(火)
終了しました

第3期

名品セレクション
+没後40年 山口長男
宮崎の美術
−置県140年 県庁建設記念作品
伊達孝太郎が見たアメリカ
瑛九は語る
現代彫刻−国内作家−

 

マグリットやミロ、エルンストの名品を展示するとともに、没後40年を迎える山口長男の作品を特集します。
宮崎県を代表する画家、塩月桃甫や山田新一などの作品とともに、県庁新庁舎の建設記念として制作された山元春挙や小早川秋聲らの宮崎を描いた作品を紹介します。
明治期にアメリカで研鑽を積み、肖像画家として活躍した宮崎出身の洋画家・伊達孝太郎のアメリカ時代の足跡を紹介します。
瑛九が美術評論や書簡で語った美術に対する思いを、作品とともに紹介します。
川原竜三郎の物語的な魅力ある作品や、異素材を融合させて制作している保田井智之ら国内作家の作品を紹介します。

令和5年9月16日(土)
〜12月17日(日)

第4期

名品セレクション
+新収蔵 アンドレ・マッソン
宮崎の美術
−新収蔵 根井南華
ジャン・アルプ
瑛九の1957年

 

ピカソや元永定正などの作品にみられる独自の形態の表し方に注目するとともに、新しく収蔵したマッソンの挿画本を展示します。
宮崎県を代表する画家、山内多門や山田新一の作品とともに、新しく収蔵した根井南華の作品を資料と併せて紹介します。
生き物を思わせる丸みを帯びた抽象作品により、独自の世界を追求したジャン・アルプの作品を紹介します。
晩年の点描に向かって変化が見られ始めた1957年に着目して、瑛九の作品と活動を紹介します。

令和6年1月5日(金)
〜4月9日(火)

 

過去のコレクション展はこちら(PDFファイル 697KB)