宮崎県立美術館
宮崎県立美術館外観 ロビー
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美術館について

すてきな作品とのすてきな出会い

美術館について

 宮崎県立美術館は、県民のみなさまに親しまれる開かれた美術館をめざして、平成7年10月に開館いたしました。

 国内外のすぐれた作品を御鑑賞いただくとともに、県民のみなさまによる創作活動の発表や学習の場として活用されることを願っています。

 このため、幅広く美術に親しんでいただくためのさまざまな催しを実施してまいります。

 

コレクションの特色

 宮崎県立美術館では、次の3つの方針のもとで作品の収集を進めており、現在約4,200点の作品を収蔵しています。


  • 郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品
  • わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品
  • 海外のすぐれた作品

 ここでは、当館の特徴的なコレクションについて紹介します。


 これらのコレクションは、コレクション展示室において「国内外の名品」「宮崎の美術」「瑛九の世界」「イタリア彫刻」等のテーマで、年4回の展示替えを通してご覧いただけます。



瑛九コレクション

 当館のコレクションの中心となるのは、戦後わが国の前衛美術に大きな影響を及ぼした、宮崎市出身の瑛九(えいきゅう)の作品です。1,000点近くの作品を収蔵しており、いつでも鑑賞できるよう、専用の「瑛九展示室」を設けています。油彩、フォト・デッサン(フォトグラム)、版画等の作品に加え、遺品や画材、銅版画の原版、生前の写真等の資料も展示しています。

 また、オノサト・トシノブ、靉嘔、池田満寿夫など、瑛九と深い関わりがあった作家たちの作品の収集も併せて進めています。


玉井瑞夫「瑛九氏」

瑛九 1911-1960 (明治44-昭和35) 詳しくはこちら

 宮崎市生まれ。1936(昭和11)年に独自の写真技法フォト・デッサンによる作品集『眠りの理由』を刊行、1951(昭和26)年には自由と独立の精神による制作を目指してデモクラート美術家協会を結成。フォト・デッサン、版画、油彩などを手がけ、様々な作風を展開しました。


瑛九「つばさ」

瑛九の全容を展望する作品群

 瑛九が14歳のときに描いた、現存する最も早期の作品「秋の日曜日」から、48歳で早逝する直前に描いた絶筆「つばさ」まで、その表現の変遷にそって、各時代の作品を収蔵しています。油彩、水彩、素描、版画、フォト・デッサンなど、絶えず様々な技法と表現に挑んだ瑛九の画業の全容を展望することができます。


 闘病生活の中制作した200号の大作「つばさ」は、瑛九が最後にたどり着いた点描で表現され、凝縮された無数の色点は、うごめき、見る者を包み込み、彼の精神を体感させてくれます。自ら「自己を決定する仕事」と称したように、残された生命力の全てを注ぎ込んだ傑作と言えます。



   瑛九以外にも、都城市出身の日本画家、山内多門や益田玉城、洋画では西都市出身の塩月桃甫、都城の山田新一、小林市出身の小野彦三郎など、本県を代表する作家たちを中心に、数多くの作品を収蔵しています。

 また、郷土作家以外の国内作品については、須田国太郎、海老原喜之助、山口薫など、郷土作家に影響を与えた作家や瑛九と同時代に活躍した作家の作品を含め、わが国の近代以降の美術史を展望できるコレクションの形成を目指しています。



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海外作家コレクション

 海外作品では、ポール・シニャック、パブロ・ピカソ、ピエール・ボナール、ジョルジュ・ルオー、パウル・クレー等、瑛九がその画業の中でたどった印象派、キュビスム(立体派)、フォーヴィスム(野獣派)、シュルレアリスム(超現実主義)などの代表的な作家を中心に、絵画、版画、オブジェ等を収集しています。



ポール・シニャック「サン・トロペの松林」

瑛九芸術の源泉をたどる作品群

 瑛九は、独自の表現を追究する過程で、様々に作風を変化させています。抽象画を描いていたかと思えば、「印象派の研究から再出発する」として写実的な風景画を描いたり、ピカソ風の幾何学的な人物像を描いたりしました。

 当館の海外作家コレクションは、このような瑛九の画業をたどる形で収集されています。

 シニャックの「サン・トロペの松林」は、自然の光を科学的に分析して細かい色点で描く、新印象派の特徴がよく表れた作品です。共に新印象派を樹立した友人スーラの死により失意の中にあったシニャックは、南仏の港町サン・トロペの明るい光に満ちた風景と出会い、新境地を見出します。パリからサン・トロペに移ったその年に描かれた、シニャック前半期の代表作です。


   海外作家コレクションの中でも、瑛九の表現の根幹に関わるシュルレアリスム(超現実主義)の作家の作品群は、特に充実しています。ルネ・マグリットの代表作「ピレネーの城」と双璧をなす「現実の感覚」をはじめ、サルヴァドール・ダリ、ポール・デルヴォー、マックス・エルンスト、ジョアン・ミロ、ハンス・ベルメール、ロベルト・マッタら著名な作家たちの名品はもちろん、国内の美術館ではあまり見ることができないレオノール・フィニー、オスカル・ドミンゲス、ドロテア・タニングなど、多彩な作家たちの秀作を収蔵しています。


シュルレアリスム

 日本語では超現実主義と訳されます。無意識の世界を表現しようと考え、夢や潜在意識にあらわれる非合理な形象を、画面に再生しようとした20世紀の一大芸術思潮で、今日の文学や芸術に多大な影響を与えました。代表的な画家に、ミロ、ダリなどが挙げられます。


マグリット「現実の感覚」

シュルレアリスムの作品群

 スペインの画家で、独特の口ひげや奇行でも知られるダリの作品には、シュルレアリスム運動の理論的指導者であった詩人アンドレ・ブルトンに「シュルレアリストのバイブル」と讃えられたロートレアモンの散文詩集『マルドロールの歌』をもとにした版画集があります。ドイツ出身の画家エルンストについては、代表作『博物誌』シリーズの他「百頭女」などの3大コラージュ小説の全作品を、シュルレアリスム運動の唯一の生き残りとされていたフランスの画家マッタについては、大作「吸引の芽」に加え各種の版画シリーズを収蔵しています。

 広大な大地の上に巨大な岩が浮かぶマグリットの「現実の感覚」は、特に人気の高い作品です。




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イタリア彫刻コレクション

 当館では、絵画だけでなく、彫刻や工芸、書など幅広い分野の作品を収集しています。特に、近現代の彫刻史の中で重要な位置を占め、本県の彫刻界にも大きな影響を与えたイタリア彫刻作家の作品収集には力を入れています。イタリア近代彫刻の先駆者メダルド・ロッソをはじめ、具象作家では「イタリア現代彫刻の3M」と称されるマリノ・マリーニ、アルトゥーロ・マルティーニ、ジャーコモ・マンズーら、抽象作家ではジャーコモ・バラ、アルナルド・ポモドーロ、マルチェロ・マスケリーニらの作品を収蔵しています。



ポモドーロ「大きい船首」

近現代イタリア彫刻作家の作品群

 エントランスホールに展示され、美術館の顔ともなっているポモドーロの「大きい船首」は、親友であった映画監督フェデリコ・フェリーニへのオマージュとして制作されたものです。鋭い逆三角形のフォルムは、時空を切り開いて旅する船のように、力強い存在感を放っています。ポモドーロの作品は、球体、円すい、円柱等の形態と、磨き抜かれた表面、その表面をむしばむ裂け目に刻まれた浮き彫りが特徴ですが、「大きい船首」は、まさに彼の真骨頂を発揮した作品と言えます。

 イタリア彫刻の作品群は、「彫刻展示室」で様々なテーマにそって紹介する他、エントランスホールをはじめ館内のパブリックゾーンにも展示しています。また、彫刻作品に加え、各作家や作品をより深く理解し味わっていただくために、彼らの素描や版画などの作品も併せて収集しています。




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主なコレクション

ピカソ「肘かけ椅子のベルベット帽の女と鳩」/シニャック「サン・トロペの松林」/ルオー「ピエロ」/
クレー「歩く女」/ボナール「葡萄を持つ女」/マグリット「白紙委任状」、「現実の感覚」/
デ・キリコ「イタリア広場・アリアドネーの目覚め」/フィノッティ「受胎告知」/安田侃「天泉」/
瑛九「つばさ」、「田園B」/塩月桃甫「舞子」/山内多門「颶風」 など

 

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運営ビジョン

 博物館の設置及び運営上の望ましい基準(平成23年12月20日改正文部科学省告示)に基づき、宮崎県立美術館では、「宮崎県立美術館運営ビジョン」を策定し、美術館の運営状況について、県立美術館協議会において評価を受けています。